J/Boats社のJ/92は、1992年に導入された全長約9.1メートルの高性能セーリングヨットです。ロッド・ジョンストン氏の設計によるこのモデルは、クルージングとレーシングの両方に適したデザインが特徴で、特に少人数での操作性と快適性を重視しています。
デザインと構造
J/92は、細身の船体と広いコックピットを備え、クルージングの快適さとレーサーの俊敏性を兼ね備えています。船体はガラス繊維強化プラスチック(FRP)製で、バルサコアを挟んだサンドイッチ構造により、軽量かつ高い剛性を実現しています。デッキも同様の構造で、強度と軽量化を両立させています。
寸法とスペック
- 全長(LOA):9.1メートル
- 水線長(LWL):7.9メートル
- ビーム幅:3.1メートル
- 喫水:1.8メートル
- ディスプレイスメント:2,495キログラム
- バラスト:1,032キログラム
- セイルエリア:43.7平方メートル
- エンジン:ヤンマーまたはボルボ製9馬力ディーゼルエンジン
- 燃料タンク容量:49リットル
これらのスペックにより、J/92は高いパフォーマンスと快適なクルージング性能を両立させています。
パフォーマンス
J/92は、セイル面積対ディスプレイスメント比(SA/D)が約24.84と高く、優れた加速性能とレスポンスを持っています。ファーリング可能な100%ジブと、ほぼマストヘッドまで届くアシンメトリカルスピンネーカーを装備し、さまざまな風況下での高い帆走性能を実現しています。
コックピットとデッキレイアウト
広々としたコックピットは、クルージング時の快適性とレース時の操作性を両立させています。デッキ上の装備はシンプルかつ機能的に配置されており、少人数での操作が容易です。また、アシンメトリカルスピンネーカーの運用をサポートするため、カーボン製のバウスプリットを装備しています。
インテリアと居住性
キャビン内は、30フィート級のヨットとしては広々としており、クルージング時の快適性を提供します。基本的な宿泊設備とプライバシーを確保し、週末のクルージングや短期間の航海に適しています。
総評
J/92は、クルージングの快適性とレーシングの性能を高い次元で融合させたヨットです。そのデザインと構造は、少人数での操作を容易にし、家族や友人とのセーリングを楽しむための理想的な選択肢となっています。また、後継モデルとしてJ/92Sが2005年に導入され、コックピットやセイルプランの改良が行われています。